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IBMを語る前に、日本のIT産業を見てみましょう。

日本のIT産業は、アメリカ製品を組み合わせて提供するSIer(システム・インテグレーション)業しかありません。中には自社製品を製造して販売するメーカーもありますが、とてもニッチな産業に留まります。実際、国内製品が使われるとしても当然国内のみでしかニーズがないため、極論的には"日本のIT企業はSIerしか無い"と言っても過言ではありません。

SIerは、Ciscoのルータやスイッチ、AmazonのAWS、MicrosoftのAzureやO365、Oracleのデータベースソフト、HPのハードウェア、RedHatのOSなどを、個社ごとの要望通りに、人手を介して手間暇かけて組み合わせる作業を行い、パッケージ化して納品する必要があります。

一度作ったモノをひたすら世界に売りまくることが出来るアメリカ。

そして、それが出来ないのが日本。

アメリカ企業の利益率が圧倒的なのは、実はこのような日米間における違いもあります。アメリカのITプロダクトは、世界のデファクト・スタンダードであり、優位性も圧倒的です。

ビジネスで最もコストがかかるのが"人"です。人に依存するビジネスは、売上から多額の人件費が差し引かれてしまうことで利益率が押し下げられ、大きく成長することが困難です。つまり、SIerは総じて利益率が低いのです。

そこで、IBMに話題を戻してみます。

IT黎明期、IBMは世界中にハードやソフトを売りまくり、何もしなくても多額のキャッシュが入ってくることが可能でした。しかし、現在は"IBMのハードやソフトが標準"という時代は過ぎ去ってしまいました。

IBMが凋落してしまったのは、売れに売れまくっていた自社製品が売れなくなり、コンサルティング(要はSIer)をビジネスの柱にせざるを得なかったから他なりません。上述した通り、人に依存するビジネスはコストがかかります。

IBMが現状の"IT業界の負け組"から脱却するためには、やはり自社製品であるワトソン等が花開くかがポイントになってくるのです。

さて、そんなIBMから四半期配当金をいただきました。

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アメリカIT銘柄の負け組とはいえ、未だに黎明期に稼いだ莫大なキャッシュがあり、NYダウ銘柄にも採用されているIBM。今後の事業投資の結果によっては、再び急成長する可能性もあります。

配当利回りが4%もあり、増配年数も22年であるわけですから、投資家は復活の時までまったり配当金を貰っていれば良いと思います。

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倒れゆく巨象――IBMはなぜ凋落したのか
ロバート・クリンジリー
祥伝社
2015-03-11