あなたが米国株投資をするときに、何を基準に銘柄を選んでいるでしょうか。

米国株市場はここ数年で大きく成長しました。
その要因の1つは、GAFA(Google、アマゾン、フェイスブック(現メタ)、アップル)の総称)などのグロース株企業が大きく成長したからです。

このような新興企業やハイテク関連企業に多い将来成長が期待できる銘柄を「グロース株」といいます。
「グロース株」と対をなすような特徴がある株として「バリュー株」があります。
「バリュー株」は、企業が生み出している利益や保有している資産から考えると株価が低い状態の企業の株のことです。

グロース株とバリュー株は、どちらがよいということはありません。
ただし、経済の状況によってはどちらに有利になる可能性が高いという過去のデータは存在します。

この記事では、株価が割安なのかをどう判断するのか、グロース株とバリュー株は今後どうなる可能性が高いのかといった内容を解説していきます。

これから米国株へ投資を考えているのであれば、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。



株価が割安かを測る指標は?

バリュー株は株価が低い状態で放置されている株です。それでは株価が低い状態なのかをどのように測ればよいのでしょうか。

株価が割安かどうかを判断する指標はいくつかありますが、ここでは最も有名な「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」の2つを紹介します。

PER(株価収益率)

PER(株価収益率)は、株価が1株当たりの純利益の何倍で買われているかという指標です。

PERは以下のように計算できます。
PER = 株価 ÷ EPS(1株あたりの純利益)
PER = 時価総額 ÷ 当期純利益

上の式の株価とEPS両方に発行済み株式数をかけると、下の式になるのでこの2つの式の結果は同じです。

例えば時価総額が10億円で、当期純利益が1億円ならPERは10倍です。
時価総額が10億円で当期純利益が5億円ならPERは2倍です。

仮にこの企業の株をすべて購入(=時価総額)するとします。PER10倍であれば、10年間同じ利益を出し続ければ10億円を回収できます。

一方、PERが2倍であれば、2年間で10億円を回収できるので、PERが小さいほうが割安というわけです。

米国株の場合、PERは20倍程度が適正と言われていますが、セクターなどによって異なるので明確な基準はありません。

また、バリュー株よりもグロース株のほうがPERが高い傾向にあります。

PBR(株価純資産倍率)

PBR(株価純資産倍率)は1株当たりの純資産(BPS)に対して、株価が何倍で買われているかを表しています。

PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たりの純資産)
PBR = 時価総額 ÷ 純資産

こちらも同じく、株価とBPSに発行済み株式数をかけると下の式になります。

つまり、PBRは時価総額が純資産の何倍かを示す指標です。
時価総額が10億円で純資産が5億円であればPBRは2倍、純資産が10億であればPBRは1倍です。

純資産部分は返済する義務がない資金で「解散価値」とも呼ばれています。
仮に会社が倒産しても時価総額よりも大きい純資産(PBRが1倍以下)があれば、お金が手元に残ることになるため、PBRも小さいほうが割安というわけです。(実際にはそんなに単純ではありませんが・・・)

一般的には、PBRの観点での割安の目安は1倍以下と言われています。

グロース株とバリュー株の代表例

グロース株とバリュー株の特徴をまとめるとこのようになります。

 

グロース株

バリュー株

特徴

将来に成長が期待される株

企業価値に対して株価が安い割安株

PER・PBR

高め

低め

セクターなど

新興企業、ハイテク関連事業など

小売業、銀行業など


実際に米国株の代表的なグロース株とバリュー株を紹介します。
下の表をみてわかる通り、バリュー株と呼ばれている銘柄がかならずグロース株よりもPERやPBRが小さいというわけではありません。

銘柄

PER

PBR

種類

グーグル(アルファベット):GOOG

20.6倍

5.9倍

グロース株

アマゾン:AMZN

54.8倍

8.6倍

グロース株

アップル:AAPL

23.0倍

34.0倍

グロース株

P&G(PG):PG

25.3倍

7.8倍

バリュー株

ジョンソンエンドジョンソン:JNJ

24.0倍

6.3倍

バリュー株

エクソンモービル:XOM

14.1倍

2.1倍

バリュー株


グロース株とバリュー株はどちらがいいの?

グロース株とバリュー株はどちらが優れているとか、どちらのほうがよいということはありません。
投資スタイルなどによって選びましょう。株価の成長率が高いのはグロース株、高配当な銘柄はバリュー株に多いです。

長期金利の上昇はグロース株にはマイナスの影響があると言われています。
10年物米国債利回りの上昇に対する負の相関が一番大きいのは情報技術セクターだったというデータもあります。

2022年から米国のインフレ抑制のため、政策金利が上げられています。当分この流れが続くでしょう。
そのため、情報技術セクターの割合が多いナスダック市場などグロース株には厳しい展開が続くと予想されます。

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直近1年間のナスダック総合指数のチャート(TraidingView作成)

そのため、現在の状況では、バリュー株(特に高配当株)に資産割合を増やすのは妥当な投資方法といえます。
ただし、米国の消費者物価指数の状況によっては政策金利の引き上げの状況はどうなるかわかりません。

想定よりも早いタイミングで政策金利上昇が終わったり、金融緩和路線に戻ったりすれば、再度グロース株へ資金が流入することは十分考えられます。大きな成長を期待するならやはりグロース株です。

秋ごろのFOMCが節目となる可能性が高いので、夏から秋にかけてキャッシュポジションを増やしておき、どちらにも対応できるように準備しておくのがよいかもしれません。

政策金利がどっちに転んでも米国株への投資がおすすめ!