株価が変動する要因は主に2つあります。

1つは市場全体に影響する「外部要因」です。
例えば、2022年3月には米国で政策金利の引き上げが発表されました。
このようなニュースはまさに株価に影響する外部要因といえます。

もう1つは個々の企業が要因となる「内部要因」です。
内部要因には、株価が上昇するような良いニュースもあれば、不祥事のような悪いニュースもあります。

「よいニュースがでたのに、自分が株を買ったら株価が下がる・・・」
という経験がある人もいるかもしれませんね。

一般的には我々がニュースを知った時にはすでにその内容は株価に織り込まれていると考えたほうがよいでしょう。
それでも、日々ニュースをチェックすることは重要です。

この記事では「どんなことに注目すればいいの?」という疑問を解消していきます。
普段あまり気にしていない人も、株取引をしているのであれば今後はチェックしてみてください。



なぜ株価は動くのか?

株価は買いたい人と売りたい人の需給のバランスによって決まります。
このバランスが様々な要因で変化していきます。

外部要因

外部要因とは社会全体に影響するような要因のことです。
外部要因の中にもいくつかの種類が存在します。

経済的な要因

政策金利や景気の動向などがこれにあたります。
かなり影響が大きい部分といえます。
また、これはすべての企業に同じ影響が出るとは限りません。

例えば、米国の政策金利上昇は円安という結果をもたらしました。
一般的には円安は輸出企業にはプラスに働きますが、輸入コストが高くなるため、輸入が多い企業にはマイナスに働きます。
このように、1つの内容でもどのような影響が出るかを想像することが重要です。

経済外の要因

米国であれば大統領選挙など政治が大きく変わる局面や、地政学的リスクなどが経済外の要因です。
地政学的リスクは基本的にはネガティブな要素が多いのですが、「有事の円買い」といった言葉もあるように独特な動きをすることがあるので注意はしたほうがよいでしょう。
(とはいえ、最近では有事の際でも円高にならないことも多くなってきましたが・・・)

市場の需給動向

株価が動く要因は需給のバランスによって決まりますが、外国人投資家や機関投資家などが大量の売買を行うときがあります。
機関投資家の動きにあわせて他の投資家もつられて購入することで、結果的に市場全体が動くこともあります。
日本国内で最も有名な機関投資家は「クジラ」とも呼ばれるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。
GPIFの資産運用額は約200兆円で、そのうち約25%を国内株式で運用しています。

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GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)HPより抜粋

GPIFの運用銘柄は公開されているので、興味がある人は確認してみるのもよいですね。
GPIFの運用銘柄はこちら

内部要因

内部要因は個々の企業の要因です。
プラスになることもあれば、マイナスに働くニュースもあります。

企業業績

四半期ごとの決算短信などがそれにあたります。
個別企業へ株式投資をしているのであれば、チェックすることは必須です。

業績の上方修正などは、良いサプライズニュースですね。
3Qの決算は上方修正がないか確認しておくことをおすすめします。
業績の上方修正は通期決算の前に、下方修正は決算発表と同時に行われることが多いです。

M&Aや株式分割、自社株買いなど

M&Aや株式分割なども株価が動く要因です。
M&Aは、発表されると株価が上がるというわけではありません。
買収額や将来性など、様々な要因で株価が動くため、簡単に飛びつかないほうが賢明です。

株式分割は、株数が増えるので株価は確実に下がります。
ただし、今後株式を購入しやすい価格になるということなので、それ以降購入が増える(株価が上がる)可能性もあります。

逆に自社株買いは株価が上がることが多いです。
自社株買いをすると、最終的に株式を消却することが多く、発行済み株式数が減少すると1株当たりの価値も上がります。

不祥事などのニュース

不祥事などは当然ながら株価が下がる要因になります。
不定期に起こることですが注意が必要です。


個別企業の情報はチェックするタイミング

個別企業の株価が大きく動く可能性が高いのは主に決算のタイミングです。
決算内容はすぐに確認しましょう。
不定期に発表されるニュースはタイミングがよめない分、大きなインパクトになることが多いです。

四半期決算

1Qに上方修正が発表されれば、その企業にはかなり追い風が吹いていると考えてよいでしょう。
2Qは上期が終了するタイミングなので、通期予想をどの程度達成しているかを確認しましょう。
基本的には50%を基準としますが、必ず50%を達成していないといけないわけではありません。
その企業によって、通常下期の売上が多いといった場合があるので、個々の企業の癖を把握することが重要です。
3Qは上方修正が発表されやすいタイミングなので、要注目ポイントといえます。
通期決算は最も重要です。今期の達成率とともに、来期予想がどうなるか注目しましょう。

不定期

M&Aや不祥事、大規模な障害などのニュースなどは不定期に発表されることが多いので、基本的にはいつもアンテナを張っておくことが重要です。

例えば、大手金融機関でもたびたび障害のニュースが発表されることなどがありますが、そのような企業には投資を控えるといった選択肢もあります。


注目の米国経済指標

なぜ株価が動くのかでも説明した通り、株価は需給のバランスによって変動します。
各国の要人発言や経済指標の発表も需要が変動する要因となります。

こちらが米国の主要な経済指標です。

経済指標

発表タイミング

米国雇用統計

毎月第一金曜日
(場合によっては第二金曜日)

FOMC声明/議事録

政策決定日の3週間後

フェデラル・ファンド金利(FF金利)

不定期

国内総生産(GDP)

四半期ごとに3回発表
速報値
改定値:速報値発表から約1ヶ月後
確報値:改定値発表から約1ヶ月後

消費者物価指数(CPI)

毎月15日前後

ISM製造業景気指数

毎月第1営業日


米国雇用統計

米国雇用統計は雇用情勢を示しており、米国経済を知るうえで注目度の高い指標の1つです。
特に「非農業部門雇用者数」と「失業率」が注目されています。
米雇用統計が注目される理由は、FRBの金融政策も雇用情勢を重視しており、株価や為替に大きく影響するからです。
発表数値が事前予想から乖離すると、市場へのインパクトが大きくなることがあります。

FOMC声明/議事録
フェデラル・ファンド金利(FF金利)

連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラル・ファンド金利(FF金利)と呼ばれる、米国の政策金利を決定します。
2022年3月に米国の政策金利が引き上げられたのをきっかけに、2022年6月現在でドル-円相場は115円から135円程度まで円安に動いています。
また、米国の株式市場はナスダックが8週連続下落するなど、大きく下落することになりました。
もちろん、要因は政策金利だけではありませんが、日米の株価や為替にも大きな影響を持つことは確かです。

国内総生産(GDP)

アメリカの経済は世界の経済に影響するため、アメリカのGDP発表は国内外から注目されます。
速報、改定値、確報値と3度発表されますが、とりわけ注目度が高いのは速報発表です。
GDPの成長率が加速すれば米国市場にとって当然プラスです。
近年ではよりグローバル化の流れが加速しており、米国市場が活況になると日本経済にもプラスになることが非常に多いです。

消費者物価指数(CPI)

CPIはConsumer Price Indexの頭文字をとったものです。
一般消費者世帯が購入するモノやサービスの価格変動を示しており、インフレ状況を把握するのに重要です。
特に「コアCPI」と呼ばれる季節性要因を受ける生鮮食品を除いた指数が注目されます。
インフレが加速すると、インフレを抑えるために政策金利を引き上げて対応することが一般的であるため、特に政策金利を引き上げつつある現在、注目される指標です。

ISM製造業景気指数

ISM製造業景気指数は全米の製造業の300人以上の購買・供給管理の役員が、各項目について前月と比較し、「良い」、「変わらず」、「悪い」から選択し、その結果をパーセンテージで示したものです。
50%を基準に、上回れば景況が良く、下回れば悪いとされています。
毎月第一営業日に前月の調査結果が発表されるため、速報性の観点から注目度が高い指標といえます。


投資を行うときには市場全体のニュースにも注目する

ここまで説明してきた通り、株価を予想するうえでは、個別企業の業績とともに経済全体にも目を向ける必要があります。

特に米国の経済指標やニュースは日本の経済にも大きな影響をもたらすので注目です。
さらに現在は政策金利が引き上げられている途中で、非常に面白い状況が続いています。

米国株に投資をする際には、ニュースや経済指標の発表にも注目してみてください。


米国の経済指標は要注目ですよ!