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東証1部上場企業は1990年には1,191社だったが、2020年6月には2,167社にほぼ2倍に増加している。一方で、株主優待制度導入企業も1992年には251社だったものが、2020年4月時点では1,537社と約6倍、物凄い勢いで激増している。

さて、問題はプライム市場の上場維持基準が東証1部の時の2,000人以上から800人以上に緩和される中で、株主数に不安を感じて、その強い動機から株主優待制度を導入した企業が、プライム市場への残留を達成した後も、そのまま株主優待制度を続けるかどうかだ。

実務家ベースの実感として、株主数800人以上という制約については、特別な努力をしなくてもほとんどの企業が達成していける数字に感じる。一方で、株主優待制度については、損益計算上の会計処理の費目としては交際費であったり、宣伝広告費であったり、費用として処理されたりするケースがほとんどだ。

通常の利益からの配当と同列ではないものの、事実上それは「第二の配当」であり、かつ、レピュテーション(評判)を考えれば一度導入を決めた場合、すぐに見直しのできないものであり、見積もらなければならないコストとして外部に流出していくものになる。

とすれば、プライム市場への移行にともない、株主優待制度の継続について見直しを図る企業が現れてきても不思議ではない

そして、株主数の新規上場基準もこれまでの2,200人以上から800人以上に緩和されたことで、新規公開企業や、公開間もない企業が、従来のように株主優待制度の導入を図ることもなくなっていくだろう。

異質さが際立つ株主優待制度であっても、それが日本国民が多数を占める日本の株式市場の個人投資家を前提にしたときに、文化的・慣習的に何かしらの共感や相互理解、信頼を生む制度であり、互いにとって有用であれば、生き残っていく制度になってしかるべきだ。

しかし、単にそれが上場のための、上場維持のための、東証1部上場銘柄というステイタスを得るがためのコストにすぎなかった、と陳腐化してしまえば、やがて制度は霧散していくだろう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9a83e2baaf52f3aa4ba9843f5f19c1cf7de89856
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株主優待人気が依然として続いています。

投資雑誌では大きく特集を組まれたりと、未だに優待は需要があり、優待欲しさに株式投資を始める人が増えています。

そもそも、株主優待とは企業が株主に対して、定期的に自社製品やQUOカードなどをプレゼントすることですが、優待を導入する企業は年々増え続けている傾向があります。

しかし、個人投資家が株主優待目当てに株を買うことは、企業価値が正当に株価へ反映されない「諸刃の剣」であり、それはリスクと言えます。

たとえば、日本マクドナルドは年2回ハンバーガーなどが食べられるお食事券を優待にしていますが、この優待欲しさに個人がマクドナルド株を買いまくった結果、今では株主構成比率は個人投資家が40%以上にまでになりました。

日本マクドナルドは数年前、中国の腐った緑肉ナゲット問題や、歯などの異物混入問題で初の赤字に転落しましたが、これらのスキャンダルでも株価は全く下落する様子は無く、逆に優待欲しさに「落ちたら買う」という投稿が相次ぎました。

普通の企業がこんなスキャンダルで赤字に転落すれば、本来株価はストップ安を記録してもおかしくないのですが、個人投資家が支えた結果、株価は下落せずに安定したわけです。

とはいえ、裏を返せば株主優待があれば買うということは、無ければ売るということです。

優待導入企業が増加する一方で、コスト増に苦しんで優待廃止を決断する企業も増えているのも事実で、廃止をアナウンスした企業は、業績不振でもないのに個人投資家から売りに売られ、ストップ安になってしまうことも珍しくない。

株式市場を歪めるガラパコス制度の株主優待は、そろそろ終焉を迎えて良い頃合いかもしれない。

日本企業も連続増配で株主に報いる文化にすべきだわ

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