公募による新株発行(発行済み株式の3割にあたる4800万株)を決定した出光興産が、7月4日付けで364円(前日比-11.17%)下落の大幅安となっています。一時は462円も下落する局面もあり、投資家の失望売りが目立ちました。反面、買収される側である昭和シェル石油は合併前進を好感して74円高(前日比+7.04%)となりました。

・出光興産 最新チャート
出光株価

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シェル株価

昭和シェル石油との合併において創業家側と経営陣の対立問題に揺れる出光興産。

今回の増資は33.92%(合併の特別決議を拒否できる3分の1超の議決権)の同社株式を保有する創業家側の持ち株比率を希薄化し、昭和シェルとの早期の合併実現を図る手段であるとされます。通常、増資とは新たに株を発行することで資金調達をし、設備投資や借入金を返済する手段に用いられます。

しかし、そもそも3割もの大増資を行う経営的背景は同社には存在しません。原油価格が過去に類を見ない程下落している昨今の状況では、設備投資はリスクが大きすぎます。また、同社の自己資本比率は22.1%と比較的安定した水準であるため、わざわざ増資してまで借入金を返済する必要性もありません。

増資は市場に流通する株数が増えることになりますので、1株あたりの価値が目減りしてしまう、つまり株が希薄化してしまうため、株主にとっては当然避けてほしい行為になります。成長企業がガシガシ設備投資していくための増資であれば将来のグロースを期待して株主も納得するものですが、出光興産は成熟企業ですし、上述の背景から今回の増資は全く必要のない資金調達であることがわかります。

これは株主軽視の他なりません。

石油業界は再編の波、出光という独自文化等、背景はいろいろあるかと思います。しかし、そもそもの基本的考えである「資本主義というキーワード」で物事を顧みた場合、経営陣は「株主から選ばれた存在」の位置付けです。つまり、経営陣は株主から雇われている立場であり、経営陣はその下で経営を委任されているに過ぎないのです。同社の株を33.92%取得している株主(創業家)の意見は最重要。経営層は従わざるを得ないのが大原則なのです。それがルールですから。

今回の増資はいわばその資本主義のルールを徹底無視した行為になります。株主の利益のために働く経営陣が、政治的な理由で株主権利を希薄化させる暴挙に出ているのです。資本主義理念が深く浸透している米国では即刻訴えられて然るべき事案になるでしょう。その意味で、(同社の株主たちがどう出るかはわかりませんが)、株主も自覚を持って主張し、行動すべきだと思うのです。

東芝の不正会計の件でも、株主たちは黙って経過を見守っていますが、株主は企業の「オーナー」です。きちんと経営陣を管理し、経営を導いていく「義務」があるのです。

出光興産は東証1部上場企業であり、伝統ある超大企業です。そのような会社でもこのような株主軽視の行為をしてしまうということは、まだまだ日本では同社のようなご都合主義会社がたくさんあるということです。

日本株を買う投資家は気を付けるべきだと思います。どれだけ株主重視であるかを測るには、配当性向が最も適したモノサシになります。配当性向とは、利益をどれだけ株主へ配当するかという割合です。株主をどれだけ大事にしているかの度合いがわかります。通常、配当性向は20~30%程度が「普通」とされており、それ以下の水準では株主還元が「消極的」との判断になります。

ちなみに、全上場企業における2016年度の平均配当性向は35%でした。

出光興産の29年3月期時点の配当性向は、なんと9.1%です。

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