2017年の株式マーケットは堅調そのもので世界的に上昇を続けており株高基調が継続しています。以前「西暦の末尾に「7」のつく年は相場が荒れる」とご紹介した通り、今年は何かしらのアノマリーが発生する可能性があります。
また、株高局面では機関投資家が売りを狙う絶好の局面でもあるため、些細なイベントから一気に下落相場に陥ることも考えられます。そのような状況に陥った際に狼狽しないためにも、投資家として誰しもが心得ておくべき言葉があります。全米でベストセラーになった、ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」にそれはあります。
相場が下落する局面で、配当はとくに次の2つの役割で投資家に貢献する。
まず、再投資を通じて保有株を余分に積み増せるので、これがポートフォリオの価値下落を受け止めるクッションとなる。
下落局面に再投資を通じて保有株を積み増す配当の働きを、わたしは「下落相場のプロテクター(安全装置)」と呼んでいる。
しかも、買い増した株式は、相場がいったん回復すれば、下落に対するクッションどころでない役割を果たす。
保有株式が増すほど、将来のリターンが加速するからだ。
つまり配当再投資は、下落局面でのプロテクターとなり、株価がいったん上昇に転じれば、「リターンのアクセル(加速装置)」となる。
配当を支払う銘柄が、市場サイクルを繰り返すうちに、最高のリターンをもたらうのはこのためだ。
シーゲル氏は過去100年以上の膨大な市場データをもとに、バフェット流のバリュー投資手法の正しさを立証した経済学博士です。同氏によれば、株式というのは配当リターンを重視する投資であり、値上がり益を中心とするものではないと説き明かしています。
そのため、相場がいくら下落しようがいつも通り淡々と優良高配当銘柄に投資していくことが投資家に本当の利益をもたらすと言っているのです。根拠として同氏は過去のマーケットを研究した結果、配当が占めるリターンはなんと「97%」であることも説明しています。
1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。
キャピタルゲイン(値上がり益)が生み出した部分は3%に過ぎない。
なんと、値上がり益のリターンはわずか「3%」しかなかったとの衝撃的な事実も述べています。アクティブ投資よりもインデックス投資をコツコツ続けたほうがパフォーマンスが良い、と言われる所以はここにあります。デイトレードのように短期で売り買いして利ザヤを稼ぎ、BNF氏のように何百億もの資産を築いた投資家もいます。
しかし、それは極一部の天才がなせる業であり、我々一般人が同じ手法をとっても相場の荒波に呑み込まれてしまうでしょう。リセッションに起因する大幅な下落相場では、大多数の短期投資家は大ダメージを受け市場からの撤退を余儀なくされます。いわば、そのような投資法は「競馬で一発大儲けすること」と何ら変わりはないということです。
我々のような一般投資家は、偉人たちが証明してきた法則に則り、淡々と優良銘柄を買っていくことが堅実な資産形成への近道となります。
リーマン・ショックのような下落相場がいくら起きようが決して狼狽せず、バーゲンセールだと思って優良銘柄をしこたま買い込めばいいのです。人間に欲望がある限り、経済というものは何事もなかったように成長していきますので、その大きな流れに乗りプカプカ浮いているだけで大きな資産を形成することができます。
何事もそうですが、物事の本質とは意外とシンプルなところにあるのです。
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