世間では日本の製造業が壊滅的だと失望ムード一色です。戦後最大の製造業タカタの倒産でより一層その色は強まっています。近年あった日本製造業のBad Newsだけでも以下の有様です。

・東芝
M&Aの原発海外企業をコントロールしきれず損失が膨らみ巨額赤字へ。黒字事業であったヘルスケアはキヤノンへ売却。家電事業さえも中国資本へ。残り唯一の稼ぎ頭である半導体は米韓へ売却予定。

・シャープ
液晶に執着するあまり経営を見誤って2,000億超の赤字に転落。台湾資本(鴻海)に買収。買収後、経営陣が台湾鴻海に過半数へ入れ替わりし一気に黒字転換、東証一部再上場を目指す。

・日産自動車、三菱自動車
不正行為で倒産寸前まで追い込まれた三菱自動車を日本企業の日産自動車が救済したと言われているが、そもそも日産自動車はフランス資本。日産自動車は過去、倒産寸前の業績を叩き出してフランス資本のルノーが買収。同社ルノーCEOであるカルロス・ゴーン氏による改革により業績は大幅な黒字転換。しかし、日産はリミット・オーバーの配当を余儀なくされルノーのATMと成り果てる。

・タカタ
エアバッグの欠陥による大量リコール問題で経営不振に陥る。最終的には一兆円の負債が積み上がり、民事再生法申請により株価は紙きれ。会社更生法ではなく保身による民事再生法を適用するという、最後の最後まで経営陣の体質問題が露に。



実は先進国の米国でも同じ道を辿っています。米国の経済成長を担い、世界の自動車業界のビッグスリーと言われていたゼネラル・モーターズ、フォード、クライスラーは揃って破綻の道を経験しているのです。

反対に、東芝やシャープと同業種である米国の電機メーカーゼネラル・エレクトリック(GE)は異なりました。GEはもともと発明家トーマス・エジソンの照明会社などをもとに創業し、世界最大の電機メーカーでありましたが、B2Cへのビジネスがジリ貧になると判断した途端、B2Bへの業態にスイッチします。スイッチ後は航空や医療など、コンシューマではなく法人向けに見事業態転換し、唯一無二の地位を確立しました。

この違いは何でしょうか?B2C、いわゆるコンシューマ向けのビジネスは極論「安さ」を売りにする商売であり、消費者からすれば性能は二の次、そこそこ使えればいいのです。

それもそのはず、世界人口の85%は途上国に位置する貧乏国家なのです。いくら性能が良くても性能対価に払えるお金はないので、結局最低限のニーズを満たしてくれる安価な製品で世界の大多数は満足するのです。日本が世界に向けた家電製品で、安さの韓国、中国に負けたのも本質を欠いたからだと思います。GEの判断が素晴らしかったのは伝統をキッパリ殴り捨て、テクノロジー重視であるB2Bへの分野に乗り出していったことでした。

エゴを優先させたいのであれば、エゴを発揮できる市場へ転換すればいいのです。ビジネスは『誰に、何を、どう売るか』が大切だとよく言われますが本質はまさにそういうことです。製造業はそもそも先進国になった時点でその「成熟したプライド」がビジネスの邪魔をします。プライドは技術者のただのエゴ・傲慢に成り果てる傾向があります。

経営者は、何をターゲットにし、何をバリューとしていくかきちんと道筋を立てていくのが仕事です。それさえ出来ずにサラリーマン社長と成り果てた日本企業は消費者が逃げていくばかりで壊滅的になっていくかもしれません。

円安に助けられただけで過去最高の黒字を叩き出した製造業界がそれを物語っています。円高には強くなったと言いますが、やはり海外と戦うには「安い」ということが最大の武器になっていることは明白です。

以上のことから、製造業は競争が激しく、為替にも左右される業界であることから製造業への投資はリスキーだと判断しています。

世界的に寡占企業となっているか、内需にめっぽう強いディフェンシブ株かに投資し、配当を再投資することこそが堅実に資産を増加させる方法になるかと考えています。世界のトレンドの移り変わりは我々の思っている以上に激しいものなので、投資家は冷静な目を持って企業を見極める能力が必要になっています。

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