1928年からNYダウ銘柄に採用、世界200国以上で石油ビジネスを展開、超スーパーメジャーの頂点に君臨するエクソンモービル(XON)が苦境に立たされています。
NYダウがこの10年で3倍の株価上昇を果たした一方、エクソンモービルは10年来の安値に突入しているのだ。
エクソンモービルを10年間保有し続けている場合、投資家はキャピタルゲインの恩恵が一切受けられなかったことになります。
無敵のエクソンモービルがここまで苦境に立たされた背景には、致命的な原油価格の下落があります。
WTI原油価格は10年前は1バレル100ドルを推移していましたが、今現在は50ドルになっています。
つまり、原油を採掘しても10年前の半値でしか売れないため、エクソンモービルを筆頭とするオイルメジャーは収益低下に歯止めがかからず、株価が右肩下がりになってしまったというわけです。
原油安を招いた要因はシンプルで、今まで「需要>供給」だった構図が「需要<供給」と様変わりしたことです。
原油というのは中東諸国しか取れないというのが今までの常識でした。
サウジアラビアなど中東の産油国で構成されるOPECを中心に、価格は全てコントロール可能で、産油国は今まで散々あぐらをかいていたのです。
石油王という言葉が日本でもあるように、産油国というのは何もしなくても莫大なお金が入ってくるので、彼らは「有り余る金を使い切ることが出来ないのが悩み」という冗談のような生活を送っていました。
台風で野菜が壊滅的で出荷量が抑えられる年は、キャベツが1玉100円から300円まで急上昇しますが、OPECは「台風」を人為的に操作して価格を無限に吊り上げていた。
しかし、技術革新によってアメリカでシェールオイルが腐るほど取れることになったため、世界的に原油余りが発生しました。
WTI原油価格は2014年の1バレル110ドルをつけてから、30ドルへ真っ逆さまに急下降したのです。
追い討ちをかけたのがこの10年における自動車のハイブリッド化やEV化が世界的に加速したことで、ガソリンをほとんど使わなくても済む世の中となり、利益率の高いビジネスがジリ貧となっています。
原油をガンガン使ってくれる頼みの中国の成長も頭打ちとなり、原油価格はさらに下落の一途を辿っている。
原油を商売道具とするオイルメジャーは、今やコスト削減でしか利益確保が難しくなっている。
平成の頃は「あと50年で石油は枯渇する」と散々言われてきたものだが、令和時代は常識が180度変わってしまったのだ。
平成の頃は「あと50年で石油は枯渇する」と散々言われてきたものだが、令和時代は常識が180度変わってしまったのだ。
石油は枯渇するから原油価格は上がり続けると思われてきたのが、今じゃ真逆に…
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