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時価総額の低さを理由に自社株買いをしたSBG

今年の春、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義氏は決算発表会にて6,000億円もの自社株取得を発表しました。

その際に、「25 - 4 = 9 ?」とう方程式を説明に用いましたが、これはソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が保有する様々な株式の価値が25兆円、負債が4兆円、しかしSBGの時価総額が9兆円なのはオカシイという理論です。

つまり、SBGは株価が安すぎるので、株価を上げるために自社株買いを行うということなのである。

説明する過程で、「1兆円未満は誤差」とする発言も飛び出しました。

とはいえ、孫正義氏の説明の通り、SBGの利益はSVFが保有する様々な株式の評価額であり、実質的な利益ではないのです。

アーム、スプリント、アリババなど、有望なIT企業の株を多数保有してはいるものの、投資に失敗すればSBGが主張している「利益」は吹っ飛ぶ。

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WeWorkへの投資失敗で、時価総額が吹き飛ぶSBG

そして、その失敗が現実のものになろうとしています。

SBGはコワーキングスペースを運営する米WeWork(ウィーワーク)に110億ドルを出資し、IPOをさせることで多額のカネ(含み益)を得るはずでした。

しかし、そのIPOが突如中止になり、ウィーワークの企業価値は470億ドルから5分の1にまで大暴落しています。

そもそも、ウィーワークが展開するコワーキングスペースというものですが、IPOする際に提出されたビジネスモデルを眺めると、実態はただのレンタルオフィスであり、不動産業者が昔からやっているビジネスに過ぎなかったのです。

そこに何となくシリコンバレー発で、先端的であるAIなどの雰囲気を装ったかっこいい雰囲気を出しただけの企業であることが露呈してしまったのだ。
まさに砂上の楼閣である。

とはいえ、SBGはこれに懲りず、追加でウィーワークに出資しようとしており、損失拡大で泥沼化する懸念が出て来ています。

これはヘタな投資家が株を買って、損失が出たからナンピンを繰り返して損失を広げる手法と全く同じであり、全戦全勝だった孫正義氏のプライドだけで動いているようにしか見えない。

「1兆円未満は誤差」と発言した以上に損失が広がっているSBGは、株価もダダ下がりで時価総額が吹っ飛んでおり、ウィーワーク次第ではさらなる下落も覚悟しなければなりません。

SVFの保有株であるUber(ウーバー)も黒字化の道は見えず、IPOしたものの株価は冴えない。

このままでは、「含み益が利益のすべて」であるSBGは、1兆円の利益から一転、大赤字に転落する可能性すらある。

含み益を利益として計上するのは危険過ぎると思うわ

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孫正義 300年王国への野望
杉本 貴司
日本経済新聞出版社
2017-06-15