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世界中の優良IT企業に投資するSVF 

今、にわかに米国株投資家の間で賑わいを見せるのが孫正義率いるソフトバンクGです。

オワコン日本の中で唯一の「攻めの経営」をしていることも評価が高い。

ソフトバンクGはもはやただの携帯電話会社ではなく、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)という投資ファンド会社に変貌を遂げています。

中国の最大EC会社のアリババ、イギリスのロボティクス会社のアーム、アメリカの通信会社のスプリント、配車サービスのUberなどに出資や買収を行い、かつ世界各国のITベンチャーに投資して莫大な利益を上げている。

四半期決算は純利益が1兆円を突破し、これはトヨタを凌ぐ日本企業で最大となるまでになった。

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1兆円の利益は絵に描いた餅と指摘されることも 

孫正義氏はその天性の投資の腕から「第2のウォーレン・バフェット」と呼ばれるようになりましたが、バフェットと異なるのは孫正義氏はIT企業にしか投資しない点です。

なぜIT企業なのか?と言えば、ITというのはこれから人々の生活に深く密接し、今後数十年は確実に成長を続けるセクターであるためです。

「どの分野でビジネスをするかで将来の半分は決まる」

「まず登る山を決めろ」

儲からない、衰退産業に注力したところで、ビジネスとして何の旨味もないことを彼は知っているのだ。

しかし、そんな無敵に見えるソフトバンクGであっても、投資家は警戒も必要です。

なぜなら、ソフトバンクGの1兆円の利益は、ビジョン・ファンドが保有する株の「含み益」の評価であって、確定利益ではないためです。

たとえば、利益1兆8,590億円のうち、約4割の8,000億弱はビジョン・ファンド含み益で、実益では1兆円になる。

そして、携帯事業はそのうち約5,000億円を占めているため、実態は5,000億円の利益になる。

携帯事業を切り離してしまったソフトバンクは、今後安定したインカムが入らないため、持ち株の評価益が下がれば一気に赤字に転落することもあり得るのです。

この構図はバフェット率いるバークシャー・ハサウェイも同じで、「天才」がトップに立つと、その分リスクも拡大する構図そのものになっている。

なお、ソフトバンクGと同じく四半期利益が1兆円を超えるトヨタは「確定利益」であるために、明日リーマンショックが起こって相場が暴落しようとも、今確保しているトヨタのお財布からは1円足りとも減ることはない。

対して、ソフトバンクGは言わずもがな保有株の評価益が暴落することで、秒速で大赤字となる可能性がある。

評価額の変動で良くも悪くも利益が乱高下するよなこれ

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孫正義 300年王国への野望
杉本 貴司
日本経済新聞出版社
2017-06-15