財務省によると、内部留保が日本企業全体で463兆1,308円となり、過去最高を更新したそうです。
景気回復によって利益が大幅に押し上げられている日本企業は、昔と変わらず「貯蓄」ばかりをしており、株主還元や労働者還元を行わない事実が改めて露呈しました。
そもそも、内部留保のここ最近の増え方は異常で、昨年9月には過去最高の446兆円を突破したばかりでした。
この1年で、なんと20兆円も蓄えが増えたことになります。
内部留保が一概に悪いとは言えませんが、ここまで溜め込む日本企業は少し異常でしょう。
なぜなら、株式会社である以上は、儲けたら出資してくれている株主に多くの配当金を支払うべきで、貯蓄して死に金にするのはご法度であるからです。
たとえば、日本企業は不景気になれば容赦無く減配や無配にするくせに、景気が良くなった場合は配当金をちょびっと増配するだけで、大半は溜め込んでいるということです。
原油価格が下がってもなかなかガソリンは値下げしないのに、原油価格が上がったらすぐにガソリン価格に転嫁するのに似ています。
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内部留保が積み上がっても、経済に良い効果はもたらさない
なぜ日本企業は、儲けまくっても株主や労働者に報いることをしないのでしょうか?
その答えは単純で、日本企業、しいては日本経済が脆弱だからです。
人が貯金するのも、将来どうなるか分からない不安からせっせと貯金に励むわけですが、日本企業も将来がどうなるのか分からないからせっせと内部留保を溜め続けるわけです。
たとえば、日本を代表するゼネコン企業は、配当より内部留保を重視していることを隠していません。
ゼネコンの中の最大手の大林組は、ハッキリと中長期計画で内部留保重視姿勢を明言しており、「内部留保の充実を勘案の上、株主還元は業績に応じて実施」とコメントしているほどでした。
さらに、どんなに儲けようと、配当性向20~30%を貫くことで、将来のために貯蓄に励むことを優先しています。
東洋経済によれば、大林組以外にも長谷工や戸田建設などの大手建設会社の中期経営計画には「内部留保の確保」を明示的に示しており、キャッシュの積み上げに励んでいると指摘しています。
これは何も大林組だけでは無く、建設業界全体がこのような体質でした。
建設業界は景気に左右され易い業種であるので、いざ景気が悪くなれば即刻赤字に転落する可能性があります。
そのため、いずれ来る不景気の備えをしているわけです。
つまり、日本経済はアベノミクスで好転してはいるものの、将来はとてもじゃないが楽観視出来ないというのが企業側の本音ということでしょう。
まあ不景気が来るのはもはや既定路線だしな
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