大規模な訴訟に発展したベビーパウダーのアスベスト問題
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が発表した2019年4〜6月の決算は、売上高は205億6,200万ドルで前年比1%減であったものの、純利益が前年比42%増の56億700万ドルとなりました。
1株利益(EPS)は2.58ドルとなり、アナリスト予想である2.46ドルを上回りました。
純利益が42%の大幅増益となった背景には、効率性の劣る事業部門売却や、コスト圧縮が功を奏したとのこと。
2019年通期の業績予想については、売上高3〜4%増を見込んでおり、前回予想より1%増という強気の姿勢です。
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とはいえ、文句なしの好決算にも関わらず、マーケットではJNJの株価は上がるどころか-1.64%の下落となりました。
背景には、同社のキラー商品「ベビーパウダー」にて、アスベストが含まれていたことで、同社が知りながら隠蔽していたことを指摘されていることがあります。
年初に米メディアのリークによって問題が露呈したものの、今年7月に米司法省が刑事捜査として進めていると知れ渡り、株価が暴落したばかりでした。
JNJはベビーパウダーを含む問題で、アメリカのみで1万件を超える訴訟を抱えており、多額の賠償金を支払うことになれば同社の業績を直撃することは不可避です。
なお、同社はベビーパウダー以外に今年5月にオピオイド系鎮痛剤の訴訟によっても株価暴落しています。
オピオイド系鎮痛剤とは強烈な痛みに効く医療用麻薬で、ヘロインの従兄弟と言われるほどの劇薬です。
本来、適切に患者に投与すればなんら問題ないのですが、その依存性からアメリカで最も乱用される薬と不名誉な称号を与えられる薬となった。
とはいえ、問題なのはその売り出し文句で、依存症が少ないとのうたい文句で1990年代に売り出されたのがオピオイド系鎮痛薬で、大ヒットを記録したものの、中毒になってしまった患者が多いと訴訟に発展しているのである。
業績は好調なのに、様々な訴訟によって頻繁に株価暴落を繰り返すJNJですが、この先訴訟進展のニュースが出る度に同じ暴落の憂き目に遭う可能性は高い。
落ち着きを取り戻すまで、投資家はヘルスケアETFに逃げておくのもひとつの手です。
度重なる訴訟問題でかなり上値が重くなってるな・・・
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