医療保険制度改革実現に力を入れる米政治家たち
米大統領選挙が来年に控える中、米民主党は初の大統領選TV討論会を開催した。
中でも注目されたトピックは、医療保険を巡る問題です。
アメリカでは日本に該当する国民健康保険制度がないために、病気になった時に病院にかかろうとすれば自費診療で大金が飛んでいくため、国民は民間の医療保険に加入することが必須となっています。
しかし、お金のない貧困層が医療保険に加入することが難しいという問題もあることから、病気になっても医療を受けられない人もアメリカには多く存在する。
この重大な問題を解決するために、2000年初頭から米政治家の中で論争となるのがメディケア・フォー・オールと呼ばれる国民皆保険制度で、国の医療保険制度です。
民主党議員らは、討論会にて「本制度こそが米国の医療問題を解決させる」「民間保険は米国民の役に立っていない」などと痛烈な批判を繰り広げた。
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仮にこの法案が通るとして、打撃を受けるのが民間保険最大手のユナイテッド・ヘルス(UNH)です。
株価はこの1年軟調そのもので、286ドルの高値を付けた去年末から210ドル台まで叩き売られてしまった。
底値で反発を見せてはいるものの、依然240ドル台で去年の高値までは届かない。
そもそも、ユナイテッド・ヘルスに限らず製薬会社にも大統領選が近いことは向かい風で、トランプ大統領が薬価引き下げを要求するなど、ヘルスケア業界は全体的にパフォーマンスが悪いです。
とはいえ、米政治家らがヘルスケア業界を攻撃するのはもはやお家芸と言えるもので、毎回このような改革を宣言するものの実際に改革が実現したことはありません。
背景には、現実問題としてアメリカで健康保険制度が誕生する見込みは、財政的に大きな負担となるため、税金が大幅に上がることで反発が強いためです。
民間保険に入れない当の貧困層であっても、税金が上がることに大きな拒否反応を示す有権者が多いことから、実現に至るのは困難と言われています。
日本でも健康保険が存在することによって、原資捻出のために社会保険料増額だったり消費税増税など負担増が続いている現実があるため、アメリカでメディケア・フォー・オールが成立する可能性は限りなく低いと見てよい。
米大統領選挙でヘルスケア業界が再び攻撃に晒されることにより、ヘルスケア株が急落する可能性が高いと考えられることから、ヘルスケア株が欲しい投資家にとっての買い場はまさに来年です。
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