医薬品大手のアッヴィ(ABBV)が、前日比16.25%安と大暴落の憂き目にあっています。
同社は医薬品売り上げ世界一のリウマチ治療薬ヒュミラを武器に、多角的なビジネス展開を行ってきた。
CFも利益も潤沢で、高い配当金を支払い続ける体力があることから、米国株投資家からも人気の銘柄のひとつだった。
同社の株価が暴落したのはスキャンダルがあったわけでもなく、業績不振に陥ったわけでもなく、他社の製薬会社を630億ドルの巨額マネーで買収すると発表したことでした。
その会社はアラガン(AGN)で、しわ取り注射剤ボトックスで知られる会社でありますが、買収されるアラガン株は前日比+25.36%高と異常な上昇を見せたのです。
これが意味することは、市場はアッヴィがアラガンを買収することには「高すぎる買い物」として難色を示しているということです。
とはいえ、アッビィのドル箱商品となっているリウマチ治療薬ヒュミラは、ヨーロッパを中心に類似品との競争が激化しており、次の一手を見つける必要があった。
以前、武田薬品工業がアイルランド製薬会社のシャイアーを6兆円以上での買収を表明した際に、アッビィ同様に株価が大暴落したわけですが、新薬開発競争が加速する中で世界の製薬会社でM&A合戦が繰り広げられており、今後も買収による大企業の株価暴落は続くと見られる。
SPONSORED LINK
そもそも、製薬というのはリスクの大きい事業であり、たとえば新しい薬が誕生するための開発期間は10年から20年、開発費は数千億円まで高騰する場合も多い。
それだけ賭けても新薬誕生の確率はおよそ3万分の1で、これはもはやビジネスというより一世一代のギャンブルだ。
いくら世界大手と言っても、画期的な新薬を作り未来永劫儲け続けられるかは誰にも分からず、突然業績不振に陥る可能性だってあるでしょう。
そのため、製薬会社の株が欲しいのであれば、投資家はETFで「製薬会社全体」に投資するべきです。
世界では人口増加や長寿化により、今までよりさらに医療が求められる時代に突入するのは確かであり、業界全体に投資しておけばまず間違いなく儲けることは可能です。
たとえば、アッビィが欲しいと考えている投資家であれば、Health Care SPDR ETF(XLV)、Vanguard Health Care ETF(VHT)を買うと良いでしょう。
このETFを買うだけで、J&J、ファイザー、メルク、アッヴィなどアメリカ製薬会社に一括で投資でき、今回のようなアッヴィの暴落、アラガンの暴騰を全て吸収することが可能です。
業界の成長がほぼ約束されている製薬だけに、リスク分散して市場成長に賭けるというのは非常に合理的な方法で、特に個別株の保有リスクが高いヘルスケア株ではETFは効果的です。
コメント