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手数料競争の煽りを受け、ブラックロックの株価が軟調 

iShareシリーズのETFでお馴染みのブラックロックは、アメリカの大手民間の資産運用会社です。

運用資産額は4.6兆ドルに上り、世界のGDPが75兆ドルであることを考えれば、ブラックロックは実に6%ものお金を牛耳っていることになる。

そんなブラックロックは1999年にはNYSEに上場した後、ETFの人気も相まって手数料収益も拡大、順調に株価を上げて来ました。

しかし、そんな同社の株価はこの1年で下落の一途を辿っています。

背景にはライバルであるバンガード社との競争激化があり、ブラックロックの収益力に徐々に弱さが露呈し始めているためです。

たとえば、両社の代表的なETFはS&P500指数に連動するIVVやVOOですが、これらの経費は0.09%から0.04%、そしてついに0.03%とマイナス金利の日銀さえも驚くような超低コストになっています。

彼らは手数料ビジネスが基本であるため、手数料が下がれば当然収益の低下に繋がり、資産運用会社にとっては痛手です。

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バンガードETFの平均経費率は、業界平均の3分の1以下 

では、なぜここまで過当競争に陥っているのか?と言えば、それはバンガードがガンガン手数料を下げてくるためです。

そもそも、バンガードは株式会社ではなく相互会社の形態を取る非上場企業であるためです。

相互会社というのは名の通り「助け合い」という意味であり、日本生命のように社員と客が資本を基金として出資する形態を指します。

株式会社にあたる株主は、相互会社であれば社員と客のみになるために、配当や自社株買いなどの株主還元にお金を使わなくてもよいのです。

つまり、バンガードは有り余った利益を出資者である客のために還元する施策を取っているため、手数料を下げることが容易なのです。

しかし、ブラックロックは株式会社であり、株主のために配当や自社株買いをしなければなりません。

手数料を引き下げることは、収益力の低下を招くことに繋がり、株主の利益に反します。

つまり、彼らはなるべく手数料の引き下げを行いたくはないのだが、バンガードが狂ったように手数料が下げてくるために追従せざるを得ないのだ。

ブルームバーグによれば、ブラックロックは「低コストだけに言及する立場から離れる」とコスト競争にうんざりしており、ETFゼロコスト競争の勝利者はバンガードになるかもしれない。

バンガードという最強のライバルが存在する限り、ブラックロックは厳しい立場に置かれ続ける。

株主の存在があるブラックロックは明らかに劣勢だね・・・

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