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年収155万円で生きていけるのか? 

アニメは日本が誇る世界的コンテンツで、近年ではジブリで有名な宮崎駿氏に続き、「君の名は。」を制作した新海誠氏などの有望株が育って来ています。

しかし、実際のアニメ作り現場の労働者は介護職にも劣るあまりの劣悪な待遇で、生活するのも困難な状況であることは度々指摘されていた問題のひとつです。

文化庁などが2月に開催したシンポジウムによれば、日本のアニメーターは年収が低く、特に20歳から24歳までに限ると彼らの平均年収はたった155万円しか無く、日本人の平均年収420万円を大幅に下回ると指摘しています。

155万と言えば、ボーナス無しと考えた場合月給12万円しか貰えていない計算になり、手取りに換算すれば10万円しか残らず、家賃を払ったら終わりです。

さらに、仕事内容も厳しいもので、深夜まで大量の絵を描く作業を強いられる環境が常態化しており、改めてアニメーターの過酷な現状が露呈した形になります。

アベノミクスの最高潮だった2015年であっても、アニメ制作会社のファンタジアやマングローブなどの会社が倒産してしまうなど、この業界の金回りは悪いです。

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海外でも大ヒットを記録した「君の名は。」  

アニメは世界中で大人気なのに、なぜこうも儲からない業界になってしまったのでしょうか?

有識者の山本寛氏や岡田斗司夫氏によれば、その背景には「制作委員会というスキーム」が大きく関係していると指摘します。

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アニメ業界、暗いのか明るいのかどっちなのか。

山本:製作委員会というスキームそのものにもう問題があると思います。ここにメスを入れないとダメだということです。たとえば、中国の配信業者が10億出しますと言っていて、でも製作委員会は「10億円いただきます!やったぜ!」とはならないじゃないですか。製作委員会の幹事会社が40%、50%握るには、10億来てもらったら困るんですよ。

(※)たとえがよく分からないが、話の意味は後述

岡田:困るよね。

ヤマカン:けど幹事会社の出資額には限度があるじゃないですか。40%の権利を得たいけど4000万しか出せません。ということは、その総額は1億で決まっちゃうんです、この瞬間に。この作品のために10億でも20億でも出すよと言っても出せないんですよ。

岡田:ちょっと翻訳させてね。

つまり、10億あったら劇場アニメのすごく良いのができるし、中国の会社は10億でも20億でも30億でも出そうと言ってる。ところが、中国の会社に20億も30億でも出されてしまったら、中国の会社出資100%のアニメができてしまう

なので、それをまるでいけないこと、チャイナマネーの脅威みたいな言い方をしながら、でもお金は欲しいわけです。

すると、どういう風になるのかというと、製作委員会方式を取りたい奴らがいて、結局それはレコード会社とか一部の会社、いつもいつもアニメの版権握っているような会社が、中心の版権の窓口やりたいとか手数料取りたいとか思っているところがあって、

「このアニメの制作費として2億以上かけちゃ困る!だって、2億の予算でうちは4000万しか出せないから。2億ならば、うちが20%押さえられる」

と。

つまり、出資額が20%以下になったら担当者の立場がなくなるので、このアニメの予算上限は2億と決めるわけです。

でも、

「中国の会社が20億出すというなら、その20億を10の作品で割りましょう」

って言う風な形で、作品を10ぐらい作って、個々の作品の予算上限を2億や10億や数千万に留めたりして、コントロール権を握ろうとしているわけです。

山本:だからアニメの本数が異常に増えたんです。でも、その1本が10本に増えたものを受け止められる現場が無いんです。

(出典:http://live.nicovideo.jp/watch/lv282996316)

つまり、アニメは儲かる構造にしようとすればいくらでも出来ますが、根本的に儲かる構造にしてしまうと業界自体が困るため、無理やり儲からない構造で利権を得ている人物・組織がいるわけです。

利権に縛られると、必ず現場はブラック化します。

そのため、一度業界構造をぶっ壊して、再構築しなければならないのですが、アニメ業界はサブカル的な雰囲気があるために、対策に本腰を入れる政治家もいないわけです。

「アニメが好きだからアニメ業界で働きたい!」

と考えるのではなく、好きの気持ちは趣味に留めた方が何事も良いのかもしれない。

趣味が義務化すると途端に楽しくなくなるセオリー

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