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伊藤忠商事の親中路線、瀬島龍三氏の意思はいずこへ 

第二次世界大戦からアメリカとの自動車戦争、そして中東の原油開発と、壮大なスケールで日本の復興から大国になるまでを描いた山崎豊子の作品「不毛地帯」の主人公は、伊藤忠商事の元会長である瀬島龍三氏をモデルにしたノン・フィクションと言われています。

伊藤忠商事は日本の5大商社の一角として成長しましたが、商社業界では長らく三菱商事や三井物産、住友商事に続く4番手でした。そんな伊藤忠商事は、数年前から他社を猛追し、堂々の1位に躍り出ました。

きっかけは2015年、他の商社がアメリカのシェール革命による原油安ショックで業績悪化に苦しみ、三菱商事や三井物産は赤字に転落したことでした。

そんな中、資源リスクを抑えたビジネスを展開していた伊藤忠商事は2,404億円という利益を上げ、ついに4位の座から業界ナンバー1に上り詰めたのです。

2016年は原油ショックも和らぎ、原油などの資源価格が回復していったことで、三菱商事や三井物産は業績を急回復させました。

しかし、そんな中でも伊藤忠は業界2位を維持し、さらに2017年は2年連続の過去最高益となる4,000億円を達成するに至ったのです。

伊藤忠は社員に特別ボーナスを支給しており、1人頭数十万円が支払われました。

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中国語を話せる社員が1,000人に上ったことを祝う伊藤忠商事 

そんな伊藤忠はここ数年で、親中路線を突き進んでいました。

たとえば、社内で中国ビジネスを加速させるために中国語の研修や個人レッスン、受講料の全額補助を行うなど、さまざまな中国語の学習機会を設けたことで、総合職社員における3分の1もの社員が中国語をマスターしたとドヤ顔で公表していました。

一部では「中国贔屓の伊藤忠」とも揶揄されるほどであり、その蜜月っぷりは良い意味でも悪い意味でも評判を呼んでいたわけです。

しかし、ここ最近は同社の雲行きが怪しくなりつつあります。伊藤忠商事は今月、出資先の中国企業の株価低迷で減損処理が必要になり、1,433億円の損失を計上したと発表したのです。

もともと伊藤忠は、中国最大の国有複合企業である「中国中信集団(CITIC)」に対して、タイの財閥と組んで1.2兆円もの莫大な投資を行っていました。

昨今ではアメリカVS中国の貿易戦争が顕著になったことで、上海市場が大暴落、中国経済の成長も頭打ちとなってしまっていたこともダブルパンチとなり、中国に入れ込んでいる企業は今後は厳しい冬の時代が到来すると考えられます。

そもそも中国は内需でしか成長性を描けない企業ばかりで、いずれ限界が見えてくることは確実でした。内需を取りつくした後の海外展開が行われる際、アメリカ企業らとの厳しい競争に勝つことは容易ではありません。

既に開かれた市場で、常に世界と戦い続けるアメリカ企業と、過保護の元で育った中国企業がぶつかり合った際、中国企業に勝ち目は無いでしょう。

伊藤忠は中国に肩入れした大企業の末路そのものであり、以前のような5大商社の4番手まで急落してしまう可能性は高い。
 
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