
孫氏肝いりの投資ファンドが貢献、利益を49%押し上げ株価急騰
ソフトバンクは、これでもかと言うくらい、国内や海外問わずめぼしい企業を買いまくっています。
そもそも、ソフトバンクは買収を繰り返し成功を収めた企業であるので、根底にはもともと投資ファンドとしての素質があったと言ってもいいでしょう。
まだ黎明期だった頃には、ヤフーやボーダフォン、そしてイーアクセスを買収し、携帯事業者として頭角を現しました。
その後、日本で唯一のiPhone取り扱いキャリアであることや、圧倒的な低料金を武器に、瞬く間にドコモやauに並んだのです。
しかし、お世辞にも通信品質は良いとは言えない「安かろう、悪かろう」の典型であり、他2社とは雲泥の差がありました。
たとえば、当時はソフトバンクのみがiPhoneを取り扱っていたことから、ドコモからわざわざソフトバンクに乗り換えをした程でした。しかし、電波の弱さは際立っており、建物の中に入れば通話さえ出来ないほどで、自宅にホーム基地局を設置しなければならない事態が続いたのです。
外出先では少しでも人混みが多くなれば、途端に回線が逼迫してインターネット通信が出来ず、当時はもはや通信会社としての体をなしていなかったと言っても過言ではありません。
考えてみてばそれも当然で、ソフトバンクはイーアクセスの通信インフラをそのまま流用しただけで、ドコモとau規模の客を支えるインフラ設備には到底及ばなかったのです。
その後、斬新なCMやiPhoneを武器に、携帯事業は巨大化し莫大な利益を上げられましたが、ソフトバンクは設備投資にあまりお金を回しませんでした。
ソフトバンクが携帯事業で成し遂げたことは、iPhoneの「インパクト」と、安かろう悪かろうの「価格破壊」であって、顧客を第一には考えていなかったと言わざるを得ません。
とはいえ、孫氏は初めから投資ファンドを目指していたことは容易に想像出来るため、携帯会社はあくまで投資ファンドへの踏み台に過ぎなかったのでしょう。
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さて、孫氏はソフトバンクを将来的には世界有数の投資ファンドに変化させ、世界中の有望企業を買い漁りたいと考えているようです。
昨年には投資ファンドであるソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を立ち上げており、先進国や新興国問わず企業を積極的に投資していく方針のようです。
しかし、これまでの投資が成功していたのは「孫氏の目利き」に依存するところが大きいく、仮に投資で巨額の損失を計上すれば、借金が多いソフトバンクはすぐにでも危険水域まで経営が傾いてしまうでしょう。
ソフトバンクは前期も中国アリババ株の売却に関わるデリバティブ取引で、なんと6,301億円の損失を計上していました。ソフトバンクの投資は「常に巨額の儲けと巨額の損失」の隣り合わせで、事業リスクは高まっています。
そもそも企業を買うと言っても、今のグローバル時代には有望企業は想像以上の割高価格で買うことを強いられることが多く、買収する度にソフトバンクの借金は膨らむばかりです。
投資家としての孫氏は優秀で、ウォール街の一流トレーダーを何千人集めようと孫氏に敵うことは無いでしょう。
しかし、孫氏が退任した後、孫氏の代わりが務まる人材はいないでしょう。
ともすれば、ソフトバンクを成長させる投資ファンドが、ソフトバンクを潰すなんてことになり兼ねないのです。
これは、「孫正義」という男が優秀過ぎるが故のリスクであり、バフェット率いる投資会社バークシャー・ハサウェイも同じリスクを抱えています。

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